ジャンプSQ.連載企画「小越勇輝のインタビューコーナー〜Another Story〜」番外編

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vol6 後編

このインタビューの本編は「ジャンプSQ.11月号」でご覧いただけます!
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小越

自分の公演中で特に思い出に残ってるエピソードは?

青木
そんなの、多すぎてなにから話したらいいかわからないよぉ〜。でもほら、氷帝はみんな問題児…じゃなくて(笑)、個性的な人たちが揃ってたので、9人で過ごした時間全部がエピソードになっちゃうくらい思い出だらけです。オンでもオフでもいろんな奇跡を味わった仲だからね。
小越
奇跡とは?
青木
例えば…『REMEMBER HYŌTEI』の最初のアカペラのところ。本番であそこがちゃんとピタッと決まると、ふわっとなにかが返ってくるんだよ。
小沼
え!? 返ってくるって…どこからですか?
青木
わかんない。でも舞台上にいる自分たちに向かって、歌い終わるとふわっと風が吹くわけ。「ん?」って思って、あとで「なんかさ、アカペラ終わったときに返って来たよね?」って聞いたら、みんなも「返って来たけど、あれ、なに?」って。記録用のDVDで見返しても自分たちはわかるんだけど、そういうちょっとヘンなこと、非現実的な感覚も共有できたのがすごく面白かった。あるんだね〜、こういうこと。
小越
小沼くんはどう? 初めての出演となった公演の思い出。
小沼
最初はやっぱり不安のほうが大きくて、始まってからもまったく不安がなくなったわけじゃなかったけど…本番を踏むうちに自分の目標がハッキリ見えて来てたから、そこを追求することだけに集中してた感じですね。
青木
俺は、常に不安でいることって大事だと思うよ。緊張感持てるし、なにより自分で「出来てる」って思っちゃうとそこから止まってしまうから。
小沼
はい。そう思いました。
小越
"仲間"といっても今回はライバルズチームだったしね。
小沼
そうなんです。自分は氷帝を経験していないので…でもそれはやっぱり知識としても知っておきたいことだと思ってて、今回はいせだいに公演中にいろいろ教えてもらってました。ただ、今は氷帝じゃなくてライバルズなので、氷帝を踏まえつつ、じゃあライバルズの跡部ってどういう立ち位置なんだろうと…考えたりしてました。
小越

ライバルズとはどういうふうに交流してたんだろう。

小沼
ふだんはやっぱり一緒にいることが多かったですね。稽古場ではみんな経験者なので、とにかく全部盗もうと思って見てましたし。本番中も、公演が昼・夜あるときはアップの済んでいる夜公演では出番以外はもうずっと袖からみんなの動きを観て、「動きと音をちゃんとハメるには?」とか、自分が知りたいポイントをすっごく観察してました。それで自分なりに感じたことを「ここはこう思ったんだけど合ってますか?」って直に言葉で聞いて、それに対してまたアドバイスをもらって。仲間でもあるけど、舞台の先輩としてたくさん勉強させてもらってました。
小越

じゃあ…テニミュから得たものってなんでしょうか?

青木
氷帝メンバーとはとにかくずっと一緒にいたなっていう感覚だったからテニミュが終わってひとりに戻って、改めてそれぞれがいろんなところで活躍しているってことが嬉しいような、淋しいような…嬉しいような(笑)。活躍や頑張りを近くで見れないんだって思うと…ね。ちょっともの足りなかったりして。でも、それこそこっちがひとりの視聴者として遠くからでもその仕事ぶりを応援できるってことが、そもそもの俺たちの仕事なわけで。だからお互いにお客さんとして応援して、応援されて、お互いに「みんな、もっと有名になろう!」って心から思える仲間たちと出会えたのは、本当に幸福だと思います。
全国氷帝が終わったとき「いつかもう一度、役者としてみんなで集まって仕事しような」って話もしてて…まぁ、もうすぐドリライで集まるんだけどさ(笑)。
小越
(笑)。さらにもっと、全然違うどこかでってことでしょ?
青木
うん。そうやって個人としても氷帝メンバーとしても、切磋琢磨していく原動力がテニミュにはある。そう思ってます。
小沼
自分は今まで13年くらいずっと野球をやってきてたんだけど、テニミュはそれ以上に…って、自分がいうのもアレだけど、ホントに今、野球以上に努力を重ねながらやっているんだって実感があります。跡部の役作りも、原作やアニメに明確に描かれていることはたくさんあるから、そこから情報を得て自分で咀嚼していけばいいんだけど、でもそれだけでもダメなんじゃないかと思って。跡部というキャラから自分が感じたモノとか、全然別のドラマなんかを見ながら「このキャラ跡部っぽいかも」とヒントをもらうこともあったし、自分で探したり膨らませたり考えたりしながら"自分の跡部"を創り出す作業がすごく楽しかったんです。役をもらって演じるってこういうことか、楽しいなぁって。
今は跡部一筋ですけど、テニミュは「この先もっといろんな役を演じてみたい」っていう、僕の役者としての基本的な思いを固めさせてくれた作品になりました。
小越
自分もテニミュは公演を重ねるごとに自分の力不足を感じて反省したり、だからこそ「もっと上手くなりたい」「もっと表現したい」っていう向上心をかきたててくれるモノだなって感じているので…。
そうだね、この先ぜひ、どこかで違う現場でもう一度ふたりに出会いたいと思います。今日はありがとうございました。

対談を前にちょっと緊張気味だった小沼さんに「スケボーとか服とかの趣味も似てるし、俺たち気が合いそうな気がする」と、青木さん。そんなW跡部の対面をやさしく見守っていた小越さん。会えばすぐに打ち解けられるのもテニミュファミリーの伝統なのかも。

次回はいよいよ最終回、
『テニスの王子様』のすべてを知る、あの方の貴重なトークをお楽しみに!