ジャンプSQ.連載企画「小越勇輝のインタビューコーナー〜Another Story〜」番外編

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vol4 後半

このインタビューの本編は「ジャンプSQ.9月号」でご覧いただけます!
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小越

テニミュ出演者はそれぞれオーディションで役を掴んでいますが、演出家としての上島さんはオーディションの現場で役者のどこに注目してるんでしょう?

森山
俺もオーディションを受ける側でしたからね。ぜひ聞きたいな。
上島
うーん…演技力だけではできない、その役の本質を持っているかどうか、かな。例えば桃城は「根っから明るい人」じゃなきゃできないと思うんだ。それはオーディション会場に入って来たときの「おはようございます!」って一言かもしれないし、その子がいるだけでなんかこっちがニコニコしちゃう感じかもしれないし。跡部ならアンニュイさとか、ちょっと陰がある雰囲気が備わってるかな、とか。そういうキャラクターそれぞれの特性って、若い役者だとなかなか演技で出せるモノでもないので、やっぱりもともとそういう空気を持っているかどうかが"鍵"になるんだよね。もちろん、演じるキャラクターに顔が似てるかとか、そういう外見的なところも大事だけど、そこに通じる本人の"本質"が伝わってくるかどうかが一番ですね。
本山
オーディション、ダンスの部分は僕も見させてもらってるんだけど、やっぱり気になるのは「その人が輝いているか」。実際、ダンスは下手なんだけどどうしても目が行ってしまう子っているし、上手い下手だけじゃなかなか選べないもの。もちろんプロとして舞台に上がる以上、ある程度のスキルは必要になる…とはいえ、それだって本人次第なので。「今はないけどこれからできる可能性はあるかな?」ってところを含めて見てます。
上島
一方で、ダンスはできるけど歌がどうも…という場合もあるよね。「歌はあまりできてないけど、でも本質はバッチリ。この役はどうしてもこの子で行きたい、他の人は選びようがないんだよなぁ」という出会い。だからこそ、本質を武器に他を伸ばしていってもらえたらなって思う。
森山
まあ…そもそも俺ら初代青学メンバーが歌やダンスの実力というより、個性だけで役についたような奴らばっかりでしたからね(笑)。「舞台が好きっていうハートだけはあるぜ!」みたいな。
上島
面白いヤツ揃いだったよ(笑)。
森山
テニミュの稽古、今はそれぞれに先生がついていますけど、最初はホントにすべて自分たちでやっていて…テニスのフォームは(山梨県ジュニアテニス選手権優勝の実績の)土屋に教わって、キャラクターのことはKimeruがテニプリにすごく詳しかったらなにかあると相談して、ほかにもとにかく足りないモノは自分たちの中で創り出すっていう作業がすごく多かった。本番のステージで使うラケットも、土屋の私物を何本か借りてたりしましたよね。
上島
そうそう。
小越

そうやってオーディションで選ばれ、さらに稽古でキャラクターを磨いていく。その方法や過程で大切なことと言うと…?

森山
俺たちが出演していた頃はちょうどアニメでも『テニスの王子様』が放送されていて、そこから作品のファンになった方もたくさんいたので、アニメもずいぶん参考にしてた。動きだけじゃなく、キャラクターの関係性とか、声優さんの声もかなり意識しましたね。もちろん、原作マンガも徹底的に研究したし。
上島
原作のある作品は、もともと二次元のモノを人間がやるわけで、そこにはあり得ないモノを表現しないといけない特殊性がつきもの。そうなるとまずは原作からの"発見"。あとはおそらく自分をキャラクターに近づけていく作業。俺は稽古場でよく「それ、まだお前じゃん!」って言うんだけど、演じようと思って作為的にやると、それはやっぱり自分にしかならなかったりするんだよね。「なりきる」のではなく、自分がなくなっちゃうくらいに「近づく」こと。とにかくキャラクターに近づいていくってことを自然に必死にやるしかない。俺はその様子を「あー、コイツやっと入って来たな」とか「こっちは良かったのにやり過ぎてまた自分になってるよ」って思って見てるわけだけど。
小越
あ、その状態、すごくわかります。
上島
…だよね。慣れてくると台詞もパッと"型"で出て来ちゃうこととか、あるでしょ? でも、それじゃダメ。毎日やってることだとしても決して型通りにならず、役としていつも新鮮に真剣に…それこそ何をどう言うかわからない自分が常にいて、その気持ちでスッと台詞を口にする。そうすることでキャラクターとして存在できるんだろうね。そういえば今の青学って、よくみんなでファミレス会議とかしてるんだって?
小越
そうなんです。最初はみんな自分のことで精一杯だったんですけど、やっぱり公演を重ねて少しずつ周りが見えてくるようになって…それぞれに青学全体として「何が足りないんだろう」というようなことは、かなり考えてますし、活発にディスカッションしてますね。
本山
確かに勇輝(小越)が一歩出てた"代替わり"したばかりの頃と比べると、今ではいい意味でメンバーが横並び、しっかりチームになってるって感じがするよ。
森山
いろいろ乗り越えてきたってことだ。
小越
(照)。キャラクターに関して言うと…四天宝寺公演のときは劇場に入って本番のメイクをする前に10分間、みんなでキャラクターでエチュード(即興劇)をやったりもしてましたね。
森山
それ、面白い!
本山
どんなことやってたの?
小越
毎日違う人がお題を決めて、例えば「部活終わりで帰る支度をしているときに乾のノートがなくなる。誰の仕業?」とか。そんな感じで。
上島
それはいい方法。うん、すごくいいことだと思います。
小越

えー、どんどん行きます(笑)。それでは出演する側、越前南次郎としてはみなさんどんな風にみせていきたいと考えてますか?

森山
"テニミュの南次郎"っていうキャラクターを自分で確立していけたらなって思ってて…それと、桃城が戻って来たよってところも含め、ファンの方に楽しんでもらうためにできることはいろいろやりたいなあと。こっちはバンバン放り込んでいくからね(笑)、勇輝も舞台上で自由に応えていってくれたらって思ってます。楽しみたいです。
本山
稽古場で森山くん見てると、「いいなぁ」「上手いなぁ」って思うよ。自分はダンスは出来るんだけど演技するのはちょっと苦手なので(笑)、森山くん見ながら今回改めて「楽しめる」ってところまで到達したいな、と思ってます。完全に初心に戻って準備中です。
上島
南次郎ってもともとは俺も全然やるつもりはなくて、最初は誰か役者さんを立てようと思ってたんだけど…バランスっていうのかな。テニスをやっている未知数のキャストの中に、ひとりだけちゃんとした大人の役者さんが入るのがちょっとしっくりこないかなぁというのもあって。結果的には俺がやることになっちゃった(笑)。でもね、南次郎はテニミュの物語中の男の子たちにとってテニスの先達であり、人生の先輩でもあるわけでしょ? 俺は特にそう考えてるんだけど、まぁ…自分自身が舞台の世界でずっと生きて来てて、それで今、みんなと一緒にテニミュを創ってる。そこで「俺は俺なりにこの世界を生きて来たよ。お前らも好きに生きてみなよ」みたいなことをね、舞台上で生き様としてみせるっていうのかな。思いを重ね合わせるような感覚で南次郎という人を捉え、表現しているっていうところがあるわけ。今回もそれは変わらずに。「演じる」よりも「伝える」気持ちでやってます。
小越

では最後に。みなさんが考える"テニミュの魅力"を教えてください!

森山
俺が桃城をやってるときは毎日が「部活がやれる!」っていう感覚で劇場に通っていて、仕事をしているというよりもホントに本気で部活をやっていて、それをお客さんも一緒に見てくれている、それが楽しい!っていう時間で──。
本山
ホントにそうだと思うよ。テニミュって、まさに部活。お客さんはその部活動を見守るマネージャーとか試合に応援に来てくれている人たちで、みんなで青学が強くなっていくのを心から楽しんでいる。
森山
ですよね。青学も他の学校もみんなががむしゃらに真剣にあの小さなテニスボールを追っている。そして、観ているほうはその姿に自然と心が打たれる。俺はそれがテニミュの魅力かなって思います。
本山
(頷く)。
上島
彼らにとってはテニスの試合をやっているその瞬間こそがすべてだからね。これから生きていくっていう若い人たちの必死な姿にはウソがない。人間80年くらい生きるとして、その中のほんの数年をすくい取って描いているのが「テニミュ」。だからこそ、観ているほうもすごく大切に感じるし、感情移入するし、感動するんだと思うよ。
小越
今回、ホントに稽古していて毎日が楽しいんです。記憶をなくしてしまったときのリョーマのいつもと違う感じも新鮮でやりがいがあるし、ここが、役としても自分としても変われるチャンスだなとも感じていて…。上島さんも、今までで一番いろいろ声をかけてくださるので、それもすごく嬉しいです。稽古ではまだちょっと悩んだり頭が追いついていってないところもあるけど、今日は今まで聞いてみたかったことが全部聞けて良かった。楽しかったです。ありがとうございました。

文字通り1st〜2ndシーズンに至るテニミュの歴史を創って来た先輩方をお呼びしてのトークに、いつもと違う緊張を感じていた小越くん。取材前日にはスタッフさんとも相談しながら丁寧に取材ノートをまとめ、稽古場ではなかなか話しきれないテーマを語れたら…と、現場に臨みました。そんな小越くんの質問に誠実に答えてくださった"トリプル南次郎"。舞台人としての厳しくも暖かい発言の数々は、小越さんの役者魂を大いに刺激したようです。

次回はシリーズ第5回目。嬉しいサプライズはまだまだ続きます!